僕らの食卓
」のレビュー

僕らの食卓

三田織

泣いて涙を拭いてまた泣いて

ネタバレ
2021年9月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 期せずして涙が溢れてしまう場面が数度あってなかなか先に進められず、読了するのに他に作品の倍かかってしまった次第です。
豊くんと穣くん、豊くんは養子として寂しい子供時代を過ごし、穣くんは病弱なお母さんを心配しながら不安な日々を送った末にお母さんは亡くなって、幼い弟の面倒を父親のように見ている。親を失って家事や家族の世話を担わざるを得ない年若い子供のしんどさ。穣くんの重荷を豊くんが少し軽くして、豊くんのどうしようもない淋しさを穣くんが埋めて、ふたりそれぞれの優しさが切ないです。
偶然の出会いから少しずつ淋しさを分け合って、優しくて嬉しい気持ちは倍にしていく描写がとても素敵です。穣くんのお父さんの淋しさとの付き合い方、そうだ、そうだよねぇと。大切なひとを心から大切にするのはこうやるんだって、教わった気がしました。
書き下ろしは成長した弟の種くんの視点から。みんな幸せそう。
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