手紙物語
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手紙物語

鳥野しの

そう言えば、高校物理は赤点だった…

2021年9月18日
レーベルクーポン半額にて(9/20まで)。手紙(葉書)が好きで、出先で気に入った葉書を見付けるとついつい買ってしまい、手紙用と葉書用の切手をそれぞれ常備しています。でも、定期的に手紙をやり取りしている人は海外在住なので、郵便局で料金を調べてもらわないといけないのがちょっと手間だな…と思ってしまいます。SNSが主流の昨今、手紙のやり取りはめっきり減りましたが、葉書や便箋を選び、中に入れるちょっとした季節のシールや付箋なんかを探しに行き、封をして郵便局へ向かう。時間が取れず、書いた1週間後に投函なんてことも。その手間さが面倒ながらも、好きだなと思います。
手紙にまつわる5編。そのうち3編は涙がこぼれてしまいました。どれも、悲しいお話ではないのですが、ポロって感じで。
▲苺とアネモネ:突拍子もない展開なのに、泣けてしまった。手紙の良さは、その人が書いた文字が残ることだと思う。その人がいたという証だ。
▲白き使者:ラストにかけて、「あぁ、そういうことだったのか」と、明かされた種を持って読み返すと、全ての辻褄が合う。面白い。
▲日雀:坊ちゃんの健気さと銀平さんの優しさに切なさが込み上げてきて…話の展開に「あぁ、なんてこと…」と悲しさがよぎりましたが、とても温かいラストにまた泣けてしまいました。手紙に込められた気持ちが宝物。
▲シュレディンガーの恋人:これは、ストーリー自体がミステリっぽくて面白かったです。ラストも粋です。
▲星の林に月の舟:さっぱり理解できないんですけれど、物理ってロマンチックだなって感じるんです。雰囲気的に笑。作者さんのセンスがキラリ。封蝋も素敵。またまた泣けてしまった。
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