皇帝と怪物
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皇帝と怪物

akabeko

永遠の孤独という闇が明ける時

ネタバレ
2021年9月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前皇帝の突然の崩御により若くして皇帝となったタオの住む宮殿には、怪物の眠るという霊廟がありました。それは、 一度起こせば起こした者にしか殺せない不死身となり国に禍をもたらすと言われていました。年若きタオは宰相ダキの傀儡皇帝に過ぎず、大切な友である乳兄弟をダキの命令で殺されてしまいます。その苦しさに、タオは酒を煽り怪物を目覚めさせます。怪物たる白髪の美丈夫は初代皇帝のウトサと名乗り、500年前に皇后に毒殺されたと語るのでした。毒殺すらも笑い飛ばし、タオが皇后に似ていると喜ぶウトサは、かつて民の為に7つの国を一つに纏めた英雄でした。タオが霊廟に出入りしていることを知ったダキは二人を捕らえ投獄しますが、そこで二人はダキの奸計を見破り打倒しようとする連合軍の大将軍ゲツと出会います。
ウトサと出逢った時、恐らく10代前半であっただろうタオは皇帝という立場で苦渋の決断をしますが、その後10年の歳月をかけてウトサへの想いを深め育ててゆきます。孤独という闇から甦ったウトサがタオと共に、人と人として生を全うするのか、二人怪物として永遠を生きるのか。大陸的なロマン溢れるファンタジーです。
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