ブライトライトスプラウト【上下巻セット】
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ブライトライトスプラウト【上下巻セット】

市川けい

名作。切なくも美しいお話。

ネタバレ
2021年10月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 市川先生の作品の中ではレビュー数が少なかったので他の作品の後に読みましたが、結果、ブルスカと同じくらい大好きな作品になりました!ずっと余韻が残ったままです。最後のシーンから想像できるのは、決して暗くはない、でもどうなるかはわからない、色々な想像ができてしまう二人の未来。。。世間一般的にはもちろん異常で不幸な境遇にいる連くん。でも、本人にとってはそれは生きていくためには否定できない受け入れるべきものであって、ただただ顔をあげて生きていて。でも、年上の男性はるとさんと関わっていくうちに、初めて人を好きになることを知るわけですが、彼のけなげさ、心のきれいさ、に切なくなり涙がでました。蓮の花って泥水の中からあんなに美しい花を咲かせますが、蓮くんのおかれた境遇がまさにその泥だとして蓮くんの素直なキレイな心がまるで蓮の花のようだな、と。そして陽歩さんはまさに明るい陽の下を歩いてきた人。七五三という名字も、家族から成長を喜ばれて愛されてきたようなイメージがわいてきます。蓮くんの名字は白戸さん。人生において人との出会いや別れなどの節目、何かのスタートなどでよく、一つのドアが閉じればまた新たなドアが開く、という例えを耳にしますが、蓮くんはいつも汚されていない白、これから何色にも自由に色をつけることができる白いドアをもってるんだ、って思いました。そのドアを開けて、はるとさんと太陽の下を歩んでいってほしいなー。

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