青を抱く
」のレビュー

青を抱く

一穂ミチ/藤たまき

青ってそうなんだ

ネタバレ
2021年10月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 和佐泉が海岸でゴミを拾っているときに出会ったのは2年間植物状態で目を覚まさない弟の靖野によく似た叶宗清という男。初対面からやたらと馴れ馴れしい態度に腹が立っていたのに会う度に印象は鮮やかになっていきます。冒頭から一穂先生の海を表現する言葉の一つ一つが美しくて、宗清と泉の会話に ほれてまうやろ~なキラーフレーズが挟まれていて胸がキュウキュウしましたが、後半想像していたのより衝撃展開でした。作中でレイ・チャールズの「Born to lose」が流れていてこの詩を読むとまたお話の理解が深まると思います(ネットで検索しました。翻訳してくれてるのもあります。ありがてえ)。ゴミ拾いは泉の贖罪だったのかな。罪悪感を抱くようなことはないのですが、何か気持ちを整えたかったのかも。一穂先生の書かれる攻め受けの関係性がとても好きです。「You Raise Me Up」という曲が浮かびます。ほんとに素敵。こう思われたい。お話はできすぎる感じにまとまりますが、いいんじゃないかなと思いました。優しいです。
2015年6月 総261ページ 挿絵あり。
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