こんな悲しい恋をするはずじゃなかった
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こんな悲しい恋をするはずじゃなかった

雪居ゆき/ARUKU

斐が悲しい恋しい(部首繋がり?)

ネタバレ
2021年10月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ またARUKU先生の、愛の表現力を深く堪能してしまった。
先生、本当にありがとうございます。。。

バンパイヤとか人魚の肉を食べた八尾比丘尼とか、人と違う時間軸で生きている者の恋物語は虚しく切なく悲しい。
だからこそ多くの著作物が生まれ、多くの読者を感動たらしめるのだ。
当作品のキャラ、斐も別の時間軸で生きている種族だ。
その孤独は計り知れない。
それでも生きて来れたのは義凡との出会いと愛があったからだ。
※※名前がギボンなのだがボンの字、“林の下に凡”がなぜか不適切用語、何故だ?※※
この義凡の思いが一等、深くて切なくて幸せなのだ。
生涯通してこれだけ愛し尽くせるのは、本当に稀有で有り難く、ありがたいと思う。
斐は義凡にもらってばかりだったと言うが、義凡にしてみれば全くの逆で、斐がいたからこそ幸せで満ち足りた人生だったと思う。
バトンタッチした柏原もまた、義凡と同じ満ち足りた人生が約束されたと思う。

「俺の人魚姫」に続き、雪居先生の繊細で華やかな絵柄が物語にとてもマッチしている。
わけても花の存在と意味。ハナミズキ、薔薇、うつぼかずら、凌霄花、空木、そして難波茨。
様々な花が出しゃばる事なく作品を通してあり続ける。

いつも思うのだが、ARUKU先生の描くファンタジーって、ファンタジーにカテゴライズされると言うよりARUKUワールドだと思う。
地続きの世界にいたのに、気づいたらスルリと反転している感じ。

「俺の人魚姫」のスピンオフじゃなかったら良かったというレビューが多いという事は、皆さん「俺の人魚姫」が大好きなんですね。
こっちのお話もとても抒情的で美しく繊細なお話なので、単体として評価して欲しかったな。
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