クローンの相方と恋愛ってどんなネタ?
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クローンの相方と恋愛ってどんなネタ?

鮭だらけ

読後感の良い近未来×クローン×芸人BL

ネタバレ
2021年10月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 舞台は、人のクローンは禁止はされていないもののタブー扱いされている2030年の近未来。お笑いコンビイースターの稲葉ソーマ(32)は8年前、幼馴染の相方麦太ミツヤを亡くし、今はピンで活躍している。ところが家に帰ると、ミツヤと姿も性格も全く同じクローンミツヤ(24)がいて...で始まる本作。
クローン人間で芸人という初めて見る設定に惹かれて読んでみたら、これが読後感が良かった。
素直で明るいミツヤと、長年の片想いを拗らせてきた隠れゲイソーマの関西弁でのボケツッコミ有りの会話(関西在住民なので「なんでそこだけ京都弁?」のツッコミの分かりみが深い)、クローンとして復活して間もないミツヤが裸で料理...とネタの宝庫かと思いきや、先輩元芸人胡麻崎先輩のアシストでミツヤがソーマの気持ちに気付いて自覚しちゃう辺りから益々可愛くなっていき、ラストに向けて、何故ミツヤが死んだのか、どうしてクローンを生み出すことにしたのか、更にタブー視されてきたクローン人間であるミツヤが自分の存在を社会に認めてもらえるのか悩み、それをソーマと2人芸人らしく乗り越えようとするなどテーマは次第に重みを増す。
これ、時系列順に並べたら凄く切ない話になるところを次第に背景が明かされていく構成にしたから明るく読めたんだと思う。
読み終わったとき、年齢は8歳差がついてもこの2人はこれから一緒に歳を重ねて、喜怒哀楽も共にしていく姿が想像できて、とてもあったかい読後感だった。アンドロイドものとはそこが違うのね。敢えてクローン設定とした辺りに作者の2人に対するそこはかとない愛情を感じてしまった。
読み始めに引っかかっていたのが8歳差問題。
えー、クローンって体細胞を卵子に注入して、胎内に戻して産まれるのでは...wikiくんにも「誕生した時点では赤ん坊である」とある...デスヨネ。とすると、ミツヤ、まだ7歳なんじゃ...どうやって、人間を3倍速で育成?培養?するのか...と考えたりもしたけど、まあ近未来だからね、ドラえもんの4次元ポケット的装置があるのでしょう(^-^)
作者様、会社員しながら漫画も描いてらっしゃるとか。応援も込めて☆5で。絵柄も、ミツヤのデフォルメ画が可愛い。
総174頁、あとがき1頁、書き下ろし3頁付き。
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