うちのちいさな女中さん
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うちのちいさな女中さん

長田佳奈

幸せってなんだろう

2021年10月29日
この作品を読んでから、ずーっとそんな事を考えています。
ちょうど同じ頃、毎日の様にメタバースの話題がラジオから流れていて、益々私などには答えなど出せない様な気持ちになっています。

本作は14歳のハナが、翻訳家の蓮見令子の家で女中として働く日々を描いています。
戦前の昭和です。
毎話毎話、心が満たされ洗われる様な気持ちになります。
特に着物の洗張りをする姿があまりにも美しく、言葉を失い目を見張りました。一針一針着物に仕立てて行く作業に、何か祈りの様な崇高なものすら感じてしまいました。

今よりも、貧しかったかもしれない。
知っている世界も狭かったかもしれない。
不便なことだらけだったと思います。
今の時代ならしないで済む苦労も、沢山あったと思います。
それでも、生活や人々の間に、私たちが知らない美しさがあったのだろうと思います。
その美しさが溢れた漫画です。

自分の人生残り半分は、
どんな時代に向けて進んで行くのだろう。
その流れに臨機応変で居たい。
それでも忘れてはならないもの、
失ってはならないものが確かにあると思います。

味噌汁が美味しく出来た時。
炊きたてのご飯をかき混ぜる時。
そういう時に、幸せだなぁと私は感じるんですよね…。
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