生きるという事





心の中のそこにいつもいるはずの人型がぽっかりと抜け落ちてしまう。埋めるピースはなく二度と聞けない声や見ることのできない笑顔、温もりが恋しくて寂しくて震える夜。
慎太郎の葬儀の夜、そんな昌典を東京から来た実が抱きとめる。
二度読みすると実のすべてが感慨深くさらに苦しく心に刺さります。
亡き慎太郎から明かされる事実はなく、母や昌典、実の視点で描かれているので深く深く余韻が残ります。読み手の数だけ解釈があっていいのかもしれないですね。
小さな山間の集落、上京した慎太郎、昌典の母、あの森から眺める町、すべてが想像の域を出ることはないですものね。
それでも残された人々はその面影や温もりを弄りながら、一緒に前に進むことを選んだことに安堵を覚えます。
実は東京で会ったこともない昌典に恋をして「生きる」を得ることになりました。だから泣くことができたんだろう。
慎太郎はもう泣く涙も出なかったのかな。せめて泣くことができたら「生きる」を得る事ができたのかな。
などと、あの森の慎太郎の目を思い出しながらぼんやり考えてしまいます。
ふぅ~と深呼吸してしまう作品ですが、手に取れて幸運でした。

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