このレビューはネタバレを含みます▼
『嘘つき〜』の続編。7年という時間を経ての作品とのことで、こうやって続けて2作品読めた事に描き続けて下さった先生、その間も作品のファンとして応援していらっしゃった方々にまず感謝です。
前作でもちょっと泣きそうにはなりましたが、続編がここまでとは…。ラストにかけての教授の心の動きには他人事とは思えない位に共鳴してしまいました。
余りに良すぎて、フォローさんが仰っている読み切り後日談が掲載されたOPERA vol.64を、大事に取っておいたクーポンを利用して購入しました。
不倫です。
完全なる不倫です。
しかし節操がないドロドロしたものではありません。
それにこの続編を読むと、不倫が正しいとか正しくないとか、そんなことよりも心に届くものがありました。
人生はままならない。
慮らずとも、自分の立場や周囲の幸せに敏感に生きてしまったという人間には、この作品に堪らず沁みるものがあると思います。
本作が下衆な不倫話に堕ちないのは、教授がエゴイスティックなだけの人間ではなく、それを打ち消してしまう程、愛と品格とスマートさを持った人物だからだと思います。
ジョナサンとの関係も溺れるのではなく嗜む。
どこまでも教授はスマートで高貴な人。
ジョナサンも全部分かってる。
返事をしないし聞かない2人。
騙したフリと騙されたフリ。
嗜むという姿勢を崩さなくとも、隙間に見える2人の想いが切なくも美しい…。
間違いなく名作。