出会わなければよかったの
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出会わなければよかったの

湖水きよ

宝物のように時々取り出す大事な思い出

ネタバレ
2021年11月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 鉄仮面と呼ばれる朝比奈譲と幼馴染の林虎太郎が高校で再会します。幼い頃二人は、近所の川に沿って歩いていつか海に行こうと約束していました。幼い頃も今もずっと病弱な兄に束縛されている譲にとって、海は遠い憧れであり、虎太郎はそこに連れて行ってくれる一条の希望でした。再会してからもそれは変わらず、譲は温かな虎太郎の手を振り払えず、その温かさに泣きそうになりながらも、兄の冷たい手を可哀想に思うのでした。大人びた物言いで弟を振り回しながら、ペットボトルのキャップを大事に集める兄の幼さが切ないです。
夏を前に、きらきら輝く海を目指して歩く二人の、やっぱりきらきら輝くDKらしいナイーブな初恋が描かれます。
『隣は何をする人ぞ』度々お隣からやって来るトラ猫ケンジは、隣りの住人黒瀬ケンジに結構懐いていて、飼い主の小鳥遊くんも黒瀬に懐いてきつつあります。アパートの壁は薄くて、小鳥遊くんとケンジの様子がわかるのですが、ある時黒瀬は気になる声を聞いてしまいます。
『海は意外と遠くない』本編では初々しいキスを交わしただけの虎太郎×譲が大学生になり、念願の海に行きます。海はもちろん、幼馴染から恋人への距離も意外と近いのでした。
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