手を伸ばしたら、つばさ
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手を伸ばしたら、つばさ

山田ノノノ

雨予報の空も晴れることがあるんだよね

ネタバレ
2021年11月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1ページ使った「可愛い❤」の図が狂気です。タイトルと表紙から、作者様初のさわやかなお話かと思っていたのですが、早々に不穏さが露呈しています。そもそも、序盤で露になった上半身と見透かすような視線からして「普通」ではなかったです。私もその「普通」からかけ離れた美しさと鋭さに息をのみました。力良の動悸にシンクロしちゃいます。
単に「普通」ではない里見と里見に目を付けられた力良の“恋愛”ストーリーにせず、“研究”にしっかり重点が置かれていたのが良かったです。「研究は未来のためのもの」というニュアンスが、変えていける2人の未来を暗示していました。その象徴である“つばさ”。キラキラの空が眩しくて、感動しました。
その余韻に浸る間なく、作者様のあとがきに胸が痛みました。里見と同じものを持っている子は少ないかもしれないけれど、他の理由で同じような境遇の子がいるんですよね。まわりに力良みたいな子がいたらいいな…。
改めて、里見の瞳に力良が映って、力良の言葉に里見の瞳が揺らいだことに、涙でした。
それにしても、いっぱいいっぱいの力良が可愛いし、体格差を気遣う里見の何とも言えない表情がたまらなーい!と、作者様らしいBL要素(エチ)も楽しめることも申し添えしておきます。
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