ふらちな刑事さん
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ふらちな刑事さん

日野雄飛

これBLデビュー作って…日野先生あなた…

ネタバレ
2021年11月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ やっぱり天才なんですね。
…いや、ゴメンナサイ。
日野先生の作品はある程度読んでいたので、それなりに先生のこと知った気になってた私がバカでした。
改めて先生の凄さを痛感して感動しました。
先生の作品今までも私的にハズレ無しでしたが、本作はもう飛び切り最高に刺さりました。
しかもデビュー作って、もう参りました。


さてお話ですが、これは2回読むやつだな〜と読みながら思いました。
とにかく予測から逸れて逸れて思わぬ処に辿り着くので、全貌を見た上で再読したくなります。

岳田の掴みどころなさや、ヤ○ザである伊志井の所業の生々しさから好みが分かれそうですが、私はリアリティがあって綺麗事にしていない感じがとても良かったです。
特に伊志井の様なそういう世界で長く生きている人にとっての常識と、それと真逆にも思える良心の描き方が本当にリアルで良かったです。

セッ○スに関しても、すごく正直でこの2人の絡み好きです。
人柄もセッ○スも上辺だけの様でいて、深層では嘘がなくて誠実に思えます。
2人共諦めというか、心を閉ざした状態が長すぎて、自分という人間が何なのか自身でも見えなくなっている。
当然そんな状態だと相手への気持ちだって自分でちゃんと把握できないし、恋心に気付いたとしても素直に表現できない。
互いにカマかけたり、気持ちの探り合い。
飄々と振る舞いながら、相手の些細な言動で気持ちが萎えて弱気になって。
めっちゃ恋してるのに、かけ違えてついには離れてしまう。
それでも会えない間にも相手を深く想いながら、自身に欠けていた部分を少しずつ軌道修正している。

最後まで岳田さんも伊志井も根本のキャラは変わっていない。特に岳田さんはよりクセが強くなってる(笑)
だから分かりやすい甘々な関係では無いですね。
でも腐れ縁的に一緒にいて、お互い何かこいつ大丈夫か?みたいなとこはそのままで(寧ろそこにお互い惚れてるんだもんね)、でも別れる気は更々ないけどね!!みたいな関係が私にはとても現実味があるしとても甘々に感じます。

2人とも不埒だけど、何か不埒じゃない。
本当に愛しいです。
読後pixiv覗いたら後日談等載っていて、更にこの2人にハマってしまいました。
既に再読済みですが、レビュー書きながらもう1度読みたくてウズウズしています。
それ位、良かったです。
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