息子たちの夜
」のレビュー

息子たちの夜

日野雄飛

大人の童話と言えば、この作品が好きです

ネタバレ
2021年11月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★空腹と寒さで朦朧とする少年・テオ×ウサ耳紳士のFF××ストーリー。(副題がいいなぁ)

★父親に虐げられ、「くたばったら穀潰しが減ってちょうどいいだろう」と雪降る外へ放り出され凍えるテオ。そこへウサ耳の紳士が現れ、テオに手を差し伸べる…。

★「テオ、屋敷に来た時に自分が向けられた目を、今は君がしているね」と思うラスト。その意味を知ってしまったテオの焦燥が素晴らしい、「大人のおとぎ話」です。無闇に残酷さで煽るのではなく、涙を誘うでもなく、淡々とソコへ落ちていくだけ。そこにポンと投げ込まれる「人の幸福とは?」という問い。彼らは、「落ちて」いくのではなくて、幸福に浸りながら「召され」ているのかな、と思い直しました。ウサ耳の可愛らしさとグロさも、良いです。

★表題作のみ38ページ。長編も短編も「読ませる」作者様ですが、同人作品、個人作品は特に好きだな、と思います。

★「少女」は拾われない。FF××できるのは「少年」だから。少年たちが選ぶ幸せとウサ耳の欲望の一致に、背徳感を感じる隙がありませんでした…。
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