彼のいる生活
」のレビュー

彼のいる生活

宮田トヲル

決して焦らず穏やかに相手を待てる強い愛

ネタバレ
2021年12月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 進学して念願の一人暮らしをするつもりだった夏川涼太は、母親同士の画策で幼馴染の田中一仁とルームシェアすることになります。中学まではずっと一緒で高校で離れた二人は再び大学で一緒になったのですが、一仁はスポーツ万能の高校球児で頭も良い上に大らかで優しく、涼太は若干劣等感を抱いています。ところが一仁は誰と付き合ってもすぐにフラれると言うのでした。よし原因を探してやろうと乗り出した涼太でしたが、家でも外でも一仁は優しい気遣いと温かさに溢れ、全く欠点が見当たりません。それどころか、どうやら涼太は一仁に特別扱いされているらしいことがわかってきます。改めて一仁のことを思うと、一緒にいるのは楽しいし、触れられるのも嫌じゃないことに涼太は気付きます。じゃあそれ以上のことはどうだろう?涼太は思い切って一仁に「俺にキスできる?」と聞きます。この辺りの眩しさが堪らないのですが、ここからが一仁の凄いところです。本気で涼太のことが好きだから無理させたくないと、告白だけしてキスはしません。その後も添い寝しても決して手を出さない一仁を、意識し過ぎて涼太がキョドってしまうのでした。
友達や家族を交え、相手と自分の気持ちを確かめながら、ゆっくりゆっくり進行していく二人の恋が丁寧に描かれます。『そのあと。〜彼のいる生活after story〜』でついに本懐を遂げます。
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