このレビューはネタバレを含みます▼
200ページ。
こういう仄暗い雰囲気は男同士ならでは。底知れぬ宇宙のような飛田に対して、真澄が全身で突き進んで行くのが良い。Sのように振る舞いながらも大事にしたい、大事にしたいから相手の望むようにSとして振る舞う、真澄の苦しみが澱のように溜まって作品世界の闇を深くしている。
過去の話を描写しないのもこの作品には合っていて、とにかく全体的にはっきりしない夜の中で、真澄の目だけが光っている。
ずっと暗い世界ですが、そのまま終わらず明けの明星を見せてくれたのが嬉しい。夜の世界に居る飛田が真澄という特別な金星を得る、美しい希望の物語でした。
金星って明けの明星だし、一番星だし、もう飛田ったら真澄のこと大好きじゃんねえ。
((2022.5追記))たくさんBLを読んでいる中で編集側の仕事について考えたりしているのですが、この作品に関しては担当さんがかなり良い仕事してますね。あとがきにある、飛田を友達のいない子にする提案は有能超有能。二人の対比が際立って、この作品を名作にまで引き上げる一助になったと思います。