スメルズ ライク グリーン スピリット SIDE-B
」のレビュー

スメルズ ライク グリーン スピリット SIDE-B

永井三郎

この結末を、何度も思い返しては考えている

ネタバレ
2021年12月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 三島、桐野、それぞれの選択を、未来を、何度も考えている。
明るさも救いもあったはずなのに、読み終わって、なんという寂しさだろう。寂しい…以外の言葉が見つからない。

男の子達の母親も三者三様に描かれており、子供に絶大な影響を与える親という存在について、考えさせられる。三島の強さは、あのかーちゃんの元で、自己肯定感がしっかり育ったのだろうと推察できる。夢野の母親も、アメリカ人の夫とあんなド田舎で暮らせるので、実はタフで順応性が高い。桐野母……。親があまりに弱いと、子供が親を守ろうとする逆転関係が生じる。でも弱さを隠せない親っていっぱいいる。桐野母が特別弱い訳ではないのだ…。

教師・柳田のその後を描いた「深潭回廊」も、「スメルズ…」に劣らぬ凄まじい作品になる予感がしますが、まだ完結していないので、結末を見届けようと思います。
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