ルックバック
」のレビュー

ルックバック

藤本タツキ

考えさせられました

ネタバレ
2021年12月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻完結で何度も読み返しました。
タイトルの『ルックバック』(『Look Back』ではなく片仮名表記であることも何か意味があるはずだと踏んでいます)はラストで藤野さんが京本さんの部屋で後ろを①「振り返り」昔自分がサインした半纏に目が留まったことで再び歩き出すこと、過去の出来事を②「回想する、追憶する」の両方の意味がこめられているのかなと想像しました。

藤野さんの作家としての原点は、自分より画力が勝っていると思っていた京本さんに認められていたことを知り、雨の中を目一杯飛び跳ねてしまうほど嬉しかったこと、初めてのファンがその京本さんで自分の作品を読んだ時の京本さんの嬉しそうな笑顔に感動したことだと思います。悲惨な事件が起こってしまい、休載するほど深く打ち拉がれた藤野さんに胸が痛み、読んでいてとても苦しかったです。しかし半纏に書かれていたサイン(藤野歩)が藤野さんに対して「藤野、歩け」と京本さんからの力強いメッセージのように感じ
漸く浅い呼吸ができました。そして藤野さんが自分の作品の続きを待っている読者達のために(自分自身のためにも)涙を拭い、前を向いて歩んでいく後ろ姿に涙が出てしまいました。後ろ姿で語れる確かな描写力が傑出しています。読後に深い余韻が残りました。

皆様の口の端に上っていた『チェンソーマン』もぜひ読んでみたいです。
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