ほたる君、きみは【分冊版】
」のレビュー

ほたる君、きみは【分冊版】

三田織

どう感じられますか?(ネタバレあり)

ネタバレ
2021年12月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ うぅ~、切ない…胸が痛い…喉の奥がギュッと締め付けられます。三田先生が心に語りかけて来るものが深いです。
読みながら、色々と想像力を掻き立てられてしまいました。きっと、この作品は読み手の解釈によって、ラストをどう捉えるか変わってくると思います。作品を読み終えてからフォロー様方のレビューを拝読して、さらに胸が熱くなりました。思慮深いレビューに感動です。ありがとうございました。

からかわれて、とっさにウソをついた男の子と、それを受け止めた男の子のちょっと切ない物語です。
本当の事を伝えようとしたひよちゃんに、気づいていた松尾くん。気づいていたんだね…それでも一緒に居たかった。ほんとに好きだったんだね。無理に笑って切る電話の向こうで、涙をこらえていたのではないかなと想像するだけで、胸が痛くて涙がこぼれ落ちます。切った後は、ひっそりと声を殺して泣いてるような気がして、たまらなく切ない。松尾くんの言う『いつか』はいつ来るのだろう…

花火よりもホタルを選んだひよちゃんを掻き立てたものは、待つ身の松尾くんを独りに出来なかったからですよね。フォロー様のおっしゃるように、ほっとけないと思います。
このエンディングで、二人の関係が変わるのか変わらないのか、正直なところ予想がつきません。新たな関係のスタートを予感させるハピエンと捉える方もいるだろうし、松尾くんの『いつか』が来るまで、仲の良い友達のままなのかもしれません。私の希望的心情としましては、『いつか』報われて友達を卒業出来たらいいなぁと願いたいところですが、その答えは見つかりません。二人が、それぞれの思う幸せな未来であって欲しいと願うばかりです。
二人で見たホタルの景色が、いい思い出に変わるといいですね。
ふぅ……やっぱり三田作品は素敵です。

余談ですが、デビュー作品『白のころ』がと~っても大好きで、一時は毎晩布団の中で読みながら、癒されて眠りに落ちていたほどです。短編集ですが、素敵なお話が詰まってます。レビュー数が少ないので、ちょっと宣伝させてもらいました。読まれる方が増えたら嬉しいと思います。
『山田と少年』『僕らの食卓』どれもこれも、優しくて、心がホッコリしますよ。
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