ハツコイノオト
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ハツコイノオト

あめきり

もう胸がいっぱいです。

ネタバレ
2021年12月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ あめきり先生のデビューコミックス楽しみにしてました。雑誌ディアプラスに初登場、初掲載されたのは、確か表題作品ではなかったように思いますが、とにもかくにもデビューおめでとうございます。あの初掲載の作品も甘酸っぱいアオハルでしたね。(作家様の記憶違いかな…)
何と言っても、インパクトのある表紙の泣き顔ですよね。あの涙に惹かれます。そして、あの泣き顔、あの涙のワケがそうだったのかと…

恋する気持ちを知らない笑也が、その気持ちをわかりたくて、SNSで偶然見つけた同性に恋した男の子の日記。その日記を投稿してる相手にも気付き、やがて片思いの相手が自分の友人と思い…という展開。
一匹狼の燕が、好きで溢れたありったけの想いを綴っているのですが、眩しいほど純粋で嬉しい事、楽しい事、恋してる今が幸せな事、素直な気持ちが真っ直ぐに伝わってくるのです。ぴゅあぴゅあでキュンとなると同時に胸が熱くなる。叶わぬ想いと自分に言い聞かせてるようなところもあって、純粋だからこそ切ないね。哀しいね。
届けたい想いだけど、届けられない想いを日記に託し、まるで渡せないラブレターのようです。
燕の日記を知ってしまった笑也は、その気持ちを知る度に、燕の事を知れば知るほど自分の中の知らない感情に切なさをにじませます。
ネットでググッても決して理解出来ない恋心。知ろうとして知れるものではないし、自然に心に入り込んで、いつの間にか心が奪われて、理屈じゃない。理屈じゃないから、恋って素敵なのですよね。誤解やすれ違いの二人。違うんだよ。そうじゃない。そうじゃないんだよ…あぁ、もどかしい…二人それぞれの募る想いが切なくて、作者様の心理描写がとても繊細で素晴らしいと思います。
赤い糸が繋がっているはずなのに、もつれてなかなかほどけなくて、やっと解れて1本の糸を手繰り寄せる。あぁ、やっと…気持ちが結ばれて感動です。
人に触られる事が苦手だった燕。好きな人なら触れたい、触れられたい。その健気な思いが自身に勇気を持たせてくれましたね。思った以上に燕が、大胆になって行くギャップに降参でした。幸せに満ちたエチエチも良かったぁ。

後書きにある、雑誌掲載の扉絵の4つのあおり文が、とてもとても素敵でした。それから、カバー下の漫画も好き。好きな人に送る言葉を、何度も書き直す気持ち。キュンとするような描写が、たまりませんよ、あめきり先生~。
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