寄越す犬、めくる夜
」のレビュー

寄越す犬、めくる夜

のばらあいこ

祝完結!皆に幸あれ

ネタバレ
2021年12月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 温かな終着点に心底安堵した。カワイソウ合戦の果ての心中endとか悪い予感に押し潰されそうだったから。狂気の3P…須藤さんに応じる刹那、傷つき涙する春真ともあえて視線を合わせてしまう二股優男←鳥肌モノ。破滅的な状況に興奮を覚える自称クソ野郎な新谷は確かにいた。その闇を目の当たりにしても信じる気持ちを捨てない春真が健気すぎて…盲目な想いも危う過ぎるピュアさもここまで突き抜けると神々しさすら感じてこっちまで涙が出た。新谷もここを境に腹を括った感あり、命懸けで春真を庇い命懸けで須藤さんの逃避行に付き添う。本当に命があって良かったよ…。4巻は春真を想うと苦しくて、でもこの時点で新谷にとっての春真が一方的に庇護する相手から頼り頼られ支え合いたい存在へと変化していると思えたから、待てた。それを誰より感じ取っていたのがある意味ずっと新谷を通してふたりを〔見ていた〕須藤さんだと思っていて、だからこその「敵わなかった」であり春真をも救ったのかなと。
最終巻、3年間プラトニックて…新谷よ…初期のもみあげが雄みがあってお気に入りだったのがツーブロに!と思ったらまさかの聖人モード発動。贖罪・更生を目指す春真を見守り父や兄に徹し続け…一連の出来事で負った心の傷と罪悪感の大きさに気付かされると同時に、どちらをも救おうとした想いは本物だったと。そこは見直した。世の二股男も皆これくらいの代償払う覚悟を持てと思う。で、禊ぎ明け3年ぶりが初々しさ全開で春真に胸の鼓動を聴かせる新谷とか、たまらん。カワイソウに惹かれてる訳でも繋ぎ止めてる訳でもない、真正面から伝え合う「愛してる」に感無量。カッコつけないでいいと言われた側からやっぱり春真の前では王子様やっちゃう新谷くん、好きだ〜。
寄り添い歩くふたりの後ろ姿が微笑ましく、ひとり歩み出した須藤さんの表情も童心に帰ったかの様で先への希望の感じられる印象的なラスト。受け2人が互いの新谷への想いを理解し尊重し合えたからこそ実現した一瞬の集いが、ふたりとひとりに分かれて生きていく彼らの背中を優しく押すものであってくれと願う。皆、どうか幸せに(番外編読了済)
3人の脆さ強さが苦く愛おしく中でも菊池春真が大好きでした。その涙と成長にこんなに心揺さぶられたキャラクター、他にない。のばら先生、有難うございました。この先こそは新谷信じてもう全て託すから…春真、愛し愛され幸せになってね。
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