午前2時まで君のもの
」のレビュー

午前2時まで君のもの

奥田枠

もやもやが残る

ネタバレ
2021年12月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 事故の後遺症の記憶障害で1日毎に記憶がリセットされてしまうミチ(受け)と、ミチに恋心を抱く中学からの友人恭一(攻め)の体からはじまる両片思いストーリー(だと思う)。
設定はおもしろいです。ミチの記憶がリセットされてしまうため、読み始めたときはところどころクエスチョンマークを浮かべていた場面も、読み進めていく毎に理解が深まります。
ただこのお話、上下巻に収めるには設定が濃すぎました。記憶がリセットされ、毎朝21歳に戻るミチと結婚した妻・灯が不憫すぎる。記憶がリセットされているといってもメモに残しながら何とか生活をしているミチに浮気の自覚がなさそうなのがまた……灯さん、気づいてたんじゃないかなぁと思うと胸が苦しいです。
あとは単純に中学からの友人で、尚且つ両片思いのふたりが29歳になるまで何もなかったのに、よりによってミチの記憶がリセットされるようになってから体の関係が始まるのがややこしい(もしかするともっと前からそうなっていて、ミチが忘れてるだけなのかもしれませんが)
タイトル通り、ミチは午前2時まで恭一のものなんです。制限があるからこそ切ないのも理解できるのですが、忘れること前提で奥さんのいるミチを抱き続ける恭一にもやり。
恭一もミチもやってることはなかなかに酷いのに、最後は灯さんと別れてハッピーエンド、でも記憶障害はそのままでタイトル回収。
奥田先生はこういうお話得意そうですし、喉に刺さった小骨が取れないみたいな読後感(?)が好きな方には合うのかなと思います。個人的にはもう少し話数が欲しかったというか、丁寧に話を進めていただけた方が満足できたかな……決められた話数に収めるからか、どうしても雑さが目立ちますし、ミチの記憶がリセットされてしまうので仕方ないのかもですが、もう少しふたりの過程が見てみたかったです。
評価下げてしまいすみません。
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