愛されたがりの尽くし方【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
楢島さち
このレビューはネタバレを含みます▼
大学生の瀬戸陽太は相手に一方的に尽くすタイプです。その陽太が食堂のバイトを終えて帰宅すると、いきなり同居人から別れたい、出て行ってくれと言われます。おまえは自己満足の為に尽くすだけで、俺のことが本当に好きな訳では無いのだと。追い出されて途方に暮れた陽太が以前住んでいたアパートに行ってみると、今の住人の岡崎巽が帰ってきます。バイト先の食堂の常連さんだった巽は、引越し資金が貯まるまでここにいて料理をしてくれればいいと言ってくれるのでした。いつも見かけて陽太のことが気になっていたという巽ですが、陽太がお礼にと誘っても手を出してきません。優しくしてくれる相手、好きだと言ってくれる相手なら、自分は好きでなくとも抱かれてしまうというのは違うと陽太は諭されるのでした。やがて陽太は、美術教師をしている巽に誘われてフライヤーデザインに関わることになります。デザインの道を諦めた陽太の為にと考えてくれた巽に、陽太は「好き」とはどういうことなのか少しずつわかってきます。鏡のように相手に映る自分しか見ていなかった陽太が、巽の為に何ができるかを一生懸命考えるようになる成長譚です。
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