新装版 イルミナシオン
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新装版 イルミナシオン

ヤマシタトモコ

ヤマシタ先生のデビュー作も収録の短編集

2022年1月13日
恋愛や青春やそれ以外の気持ちなどの物語の、途中だけを切り取ったような短編集です。
悪く言えば投げっぱなしなのですが、描かれていない背後の膨大な時間や経験や関係性の存在を、確実に意識させてきます。
だからか解りませんが、泣きたいような我慢したいような複雑な心持ちになってしまいました。
三つのお話を読むまでは。
ですが四つ目の「あの人のこと」を読み終わった時、嗚咽をあげてしまいました。
全く違う登場人物、違うお話なのに、マイノリティの底にある共通したやるせなさが一気に表に出てしまいました。
泣いてしまったらもうマイノリティとかマジョリティとか関係なく無い?って気持ちになれて、作中人物への共感度が高まりました。
ヤマシタ先生は最初っからヤマシタ先生なんだな〜と感慨深くなってしまう作品集でした。
どれもこれも、事あるごとに思い出しては反芻するんだろうな、と思えるお話ばかりです。
後書きもとても興味深かったです。
(イルミナシオンをググったらランボーの詩集に行き当たったのですが、イルミネーションのスペイン語の方かな〜?)
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