BARBARITIES
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BARBARITIES

鈴木ツタ

三位一体が大成功の面白さ!

ネタバレ
2022年1月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さまが何度もおっしゃっている、架空異国風物語です。
好きな物を何でも描きたい大風呂敷まんが、との事です。
が、いやはや、緻密な背景設定にはウットリさせらっぱなしでした。。。

建築物、服飾、文化の描き込みはさすが好きな物とおっしゃているだけあって、大理石、漆喰、煉瓦から、リボンにレース、羽飾り、天鵞絨、貂の毛皮まで耽美の世界を満喫できます。
裁判官の着用する鬘、フルボトムが滑稽でありながらも権威の象徴として麗しく?描かれていて、英国の文化はできれば後世まで残していただきたいよな〜と思ったり。。。

目に見える文化もですが、なんと言っても宗教で内紛が起こる世界観は、日本人には馴染みがないだけに、かなり知識が必要だったのではと思います。
崇める対象の違いだけではなく、教義の違いまで出しているあたり、中世の宗教戦争を彷彿させる深みがありました。
それにお家騒動と隣国の思惑まで入り乱れて、ひとつ間違えば読むのがめんどくさーってなりそうな所を、アダムの人物像をもって一掃させているあたりが凄いです。
複雑な背景設定にたった1人で太刀打ちさせる為のキョーレツなキャストです。
思想的にもリアルな現代に近しい愛すべき美男です。
彼が恋慕うモンタギュー卿は(ロミジュリか!)BLの受けとしては何やらチグハグな風貌と性格をしています。
ですが4巻を通して可愛らしく愛しい存在感がスルメのように増していきます。。。

忘れてはならないのが敵対する悪の存在です。
かなりヒヤヒヤさせられました。
主人公の正義は勝つのか?
勧善懲悪として物語を盛り上げるのか?
読みどころであります。。。

ガッチガチな背景と、奇天烈な攻めと、チグハグな受け。
この三位一体が得も言われぬ世界観を構築し、吸引力を発しているのだと思いました。。。

メインCPがなかなか進展しないので、その埋め合わせ的に隣国の王位継承者と奴隷上がりの側近の閨ごとが描かれています。
いや埋め合わせなんて言って失礼でした。
かなり滾ります。。。

作品タイトルのように野蛮とも粗野とも受け取れず、むしろメインキャストたちの清冽さや優しさ、正義と愛に満ち溢れたステキなお話でした。

修正はほとんどが見えない構図、チラリと見えちゃってるトコは白抜きでした。

カバーイラストの装飾と距離感もステキですよね(´∀`)
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