百年でただ一度だけ恋した
」のレビュー

百年でただ一度だけ恋した

ARUKU

おとぎ話のような恋物語

ネタバレ
2022年1月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ ARUKU先生は自分にとって特別な作家さんです。とにかくARUKU先生には弱いのです。
好きで作家買いしてる先生はたくさんいますが、その中でもどれを読んでもハズレなく必ず星5つになってしまう驚異の作家様。
ARUKU先生の描く世界、紡ぐ物語がただひたすら好きです。

ARUKU先生の作品はいつも、貧困や心身共の不自由などの息詰まるような閉塞感の中にどこかおとぎ話っぽい雰囲気が漂っていますが、今作はそれを特に強く感じました。
苦しい心内を吐露できて、全てを受け止めてくれる王子様と生涯一度の恋をするストーリー。
面倒なことは起こりますが、全体的にあまり重くはなく、キラキラ可愛くロマンチックな感じです。

正直うた君は健気ないい子ではありません。自分の意志で環境を変えられるはずなのに、勇気も気概もなくどちらにも中途半端。気持ちはミャオ君にあるのに状況としてはかなり長い間グダグダしてます。そうなっちゃってるのは周りのせいじゃなく自分のせいだよね?と途中もどかしく思いましたが、そんな思いを吹き飛ばすほどのミャオ君の一途さが最高に良かった!
ミャオ君の方こそ百年に一度の恋だったのでは。
この物語は終盤のミャオ君の独白が肝だったんだなと思いました。
いろいろあったけど、結局自分を一途に愛してくれる王子様を手に入れちゃって、うた君はほんまもんのヒロインだなぁと思いました。ミャオ君の目を通して見たうた君がもうキラッキラに美しい。
実体は王子様でもドラマチックでもなかったけど、そんなふうに自分を見つめてくれている人がいた、と優しく穏やかに締めたラストが好きです。
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