蠍と乙女
」のレビュー

蠍と乙女

澄谷ゼニコ

掬うと救う

ネタバレ
2022年1月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 少女漫画ジャンルの男子と男子のお話。
『息できないのは君のせい』がとても好きで、本作の完結も心待ちにしていました。(1/28まで1巻セール)
個人的に、とても響いてくるお話でした。「カーン!」って響きじゃなくて、低音が胸の奥に重く伝わってくる感じです。
フォロー様のレビューを拝見して、作り手様の想いを掬う読み手であれたらいいなと、そんなことを考えたりもしました。
以前は、自分の意に沿わない作品に、感情のままにひどいレビューを書いたりしてしまっていて、それを製作者サイドが目にしているかは分からないけれど、もっと丁寧に書くべきだったなと、最近は考えるようになっていました。でも、そのレビューに「いいね」を付けてくれた方がいると、安易に書き直すのもダメな気がして、そのままだったりするんですけれど…。
私は、低評価レビューも参考にさせていただいていますし、素直な感想や評価は、潤沢な資金がないという面でも作品選びにはありがたいです。でも、「書き方」って大事だなと、特に2巻を読んで身に染みました。
自分には合わなかったり、「これはない」と感じたりしても、その作品から何かを掬い取っている方もいて、作中では「暴論」と言っていますが、何が誰の救いになるかは分からないんだな、と色々考えさせられました。まぁ、逆もあって、何が誰を落とし込むかも分からないんですけれど…。あぁ、難しい…。多分私は、今後も低評価レビューも書いたりもするのだと思うのですが、どなたが目にするか分からないということは、ちゃんと頭に置いておこうと思いました。
あ、何だか2人の恋愛模様をスルーしてしまっていますが、作家と読者、作家と編集と言う関係性を絡めながら描かれる2人の気持ちは、まるで井戸の底をのぞき込むようです。確かに水の気配は感じるけれど、見えにくくてちょっと不安になるような。でも、ちゃんと水(ラブ)はあった…。私はとても好きなお話でした。
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