このレビューはネタバレを含みます▼
前作『明烏夢恋唄』のシリーズ続編。
学生の東御門紺は、あやかしが見えてそれを退治することを生業とする、陰陽師の家系の息子。
気に食わない人には、在らざるものの存在を明かして肝を冷やすくらい人間付き合いが苦手な人です。
あやかしが浮遊結界の修復依頼に来たことから【かすみ楼】へ出向き、美しい鬼茨木(シキ)に会う。
彼は廓としてのもてなしをして、紺は鬼と交わることは陰陽師として禁忌と知りながらも身体への愛撫を受けている時に失ったはずの茨木の右手が一瞬現れる。
それを見つけて欲しいと乞う茨木に承諾する紺。
あやかしの皆とは明るく会話をしたり、茨木が他のあやかしと語っている内容を聞いて後退りする紺の姿を見て、紺はいずれ人間世界から離れるのではないかと思ってしまいました。
それほどに人間とは関わるのが嫌いで、友を守るための結界をより強くするためだけに精進をしていたから。
紺は茨木と生きたいと願うのに、茨木は相容れない関係と諭します...
和製ロミジュリです。ロミジュリは家同士が敵対する関係ですが、茨木と紺はそれ以上に、鬼と陰陽師という平安の世から戦ってきた間柄に加え、茨木の身体から発する瘴気は人間の紺には死と隣り合わせになるというものでロミジュリより絶望的な関係です。。。
この先に待っているのは、ハピエン?それともアンハピエン?
最後の最後は語りません。
これはどう解釈したらいいのか何度読み返しても答えがわかりません。
まさにこういう場合に僥倖という答えが欲しいと思いました。