愛日と花嫁
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愛日と花嫁

渚アユム

むせかえるような色香にめまいと衝動と

2022年2月19日
何十年かに1人突如Ω化した者が神(α)の嫁:生贄になるという因習により捧げられたルカ。と、暗雲が垂れ込めたはじまりから一転、迎えに来た守り神クロはぶっきらぼうだけど親切で、村での生活からルカを解き放つ。明るく変わるルカの表情に、春の柔らかい光が差し込んだように読み手の気持ちも浮き立ってゆく。ルカはクロに惹かれ、クロも惹かれているように見えるのに、人間が好きではないと言いつつΩを救うことには熱心で…と、ルカ目線で描かれる魅力的で謎めいたクロの秘密が後半になって解き明かされ、作者が構築した世界観の豊かさ、人間の罪、それでも見捨てない神の加護とルカの善良さに作品としての質の高さを感じ入りました。

良質なファンタジー作品でありながら、オメガバであることから、昼間は淑女のルカでも発情してしまう訳ですがそのとき発する熱やフェロモンの描写がもう素晴らしいんです。あまりに色っぽいルカの背中とうなじを見て「…美味しそう…うなじを噛みつきたくなるαの気持ちが分かる!」と、普段出ないホルモンが放出されているような浮かれた気持ちになっているのには自分でも驚きました!ひゃー、ヤバい、クロに怒られる 汗。

そんな素晴らしい絵と世界観に、幸せラストを迎えた本編の後に始まる書き下ろし。これが作者本人による二次創作の体をなしており、ずーっと本編の作品世界に入り込んでいた身には、作風の異なるラブラブイチャイチャ展開が続き、作者からのとんでもないご褒美に歓喜に包まれ、喜びが極まる。クロがどれだけルカを愛しているのかが伝わり、「本編ではだーいぶセーブしちょったんじゃのう、思う存分イチャコラするがよい」(突然おじいちゃん出てきてすみません。)と語りかけたくなるコマの連続に、腹筋が痛くなるほど笑っちゃいました。

なんだろう、このあったかい感動とちゃんとエチと笑いとのコンプリート感。何とも言えない充実感。今、最推しの1冊です!悩んでるなら是非買って読んでください!
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