愛日と花嫁
」のレビュー

愛日と花嫁

渚アユム

心揺さぶる感動作です。(ネタバレです)

ネタバレ
2022年2月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 思わず唸る。こんなに衝撃デビューを飾られた作家様に惜しみ無い拍手と、全身全霊エールを贈りたい。これがBL初?かと思うほど、繊細に練り上げられたストーリーに興奮がおさまらない。私の力では伝えきれないので、どうかぜひとも読んで、感じて欲しいですねぇ。
『神様と生け贄』『神様と人間』『オメガバース』この中でどの設定をとっても浅くならずに活きてるし、バランス良く融合されてテーマ倒れなし。それがすごい!
Ωであるが故に村のために、守り神の生け贄とされてしまうルカですが、太陽神クロの供物でありながら穏やかで楽しく暮らす日々が優しい世界観へと誘います。ルカを労るクロが優しくて、だけど番になろうとしないのは…人間の寿命が問題だとばかり思っていました。先立たれる哀しみを味わいたくないから、愛したくないのかと…
そんな生易しいものじゃない衝撃の事実が明らかになって行く事に、どんどん言葉を失って行きました。穏やかで優しさのある日々から一転、何という強くて美しい世界観を作り上げたのでしょう。
実り豊かな大地や人々を守るための生け贄。
人間が犯した愚かな罪。
罪で恩恵や加護を受ける人間。
後半に語られるクロの真実が、驚愕で苦しくて胸が痛くてしょうがない…
クロの哀しみと怒りはどれほどのものか…
そして、それを知ってしまったルカの哀しみを考えると、たまらなくて涙が止まらない。
それでも愛さずにはいられないんですよね。
傷ついた神様の心が癒されるのは、信じる事の出来るルカの愛。心を埋め合う二人の愛とルカの幸せな涙が美しい。感動に心が震えます。
訪れた二人の幸せで終わらせないところが、この作家様の素晴らしいところです。たとえ人間を信じられなくても、それでも彼らは信じたのでしょう。村を大地を人々を守るために、『全てに等しく平等に』という信条を貫き通した展開に感動。ウェラの遺志は守り継がれた、これこそが神の加護なのです。全てをやり遂げるまで番にならなかったのも素晴らしい。
手を繋いで歩いて行く後ろ姿のラストが素敵です。

エチはオメガバースらしく濃厚で、ルカが結構えっちに喘ぎたっぷり可愛いく乱れます。

書き下ろしは、神様というよりは人間臭さが強くてとてもイチャイチャで可愛い。電子のおまけは、フ◯ラのためのインフラ整備に笑ってしまい、本編では想像つかないラブコメ風です。
はぁ…素晴らしく良かったです。
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