このレビューはネタバレを含みます▼
「病める時も、健やかなる時も、」で感銘を受けた作家さん。こちらの作品もすごく良かった!
漫画だけど、絵の表現と同時に言葉も大切にしている作家さんだなぁと思います。野良先生ならではの独自性があり、いつも深く思索されながら言葉を選んでいるように感じます。だから心に引っかかる言葉を紡げるのかなぁ。
野良先生の漫画は繊細であり正直、感性が素晴らしく、触れるとドキドキします。漫画を通して作者さんが表現したものを受け取るのってすごく面白いなぁと改めて感じさせられました。
今作は今まで人との関係をきちんと作ってこなかった二人のお話。
自分の中に自分がなかった役者男(結局名前出なかったな)に価値を与えた羽瀬はすごいと思いました。自分のことだけでいっぱいいっぱいで甘えてた男が少し大人になって、人のこと考えられるようになったのってすごい変化だよ。
しかし彼の役に入り込む能力はすごいな。まともなやり方ではないかもしれないけど、ある意味才能だよね。
仮面を被らず自分は自分として生きること。それが何よりも難しかった二人が寄り添うために認めてやってみる。さすがに恋は自分じゃないとできないもんね。
お互いがいるからって自分が大きく変わるわけではないし、生きづらいのは変わらないんだろうけど、最後肩から力が抜けたような顔の二人に心がほわっとしました。