引き摺るほど与う
」のレビュー

引き摺るほど与う

頼長

次第に熱を帯びる2人の関係に息を呑んでた

ネタバレ
2022年2月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ シュガードラッグに引き続いて読んだ頼長先生。これも慎二(受)と良(攻)の2人の関係が変化していく様をじっくりと描いていて面白かった。
添い寝リフレのキャストをすることで承認欲求を満たしている慎二と仕事はできるけど対人関係不全の良。どちらも「自分でなきゃ駄目」な相手がいなくて心に満たされない隙間がある。良は添い寝とはいえ肌も合わせキスもする慎二に心も身体も委ねていきたい想いが募り、性欲を向けていく…肌が合って最初から安心して寝られる人などそうそういるものではないもの。良が慎二にのめり込んでいることは目や思わず噛み付いてしまう様子で描かれ、まるで湧き上がる愛情が溢れ出てしまわないように必死で抑えているように見える。
対する慎二も、良が自分に向ける感情で気持ちが満たされ、次第に身体的接触への堰を開放して内面も良で満たされていく。でも良に溺れた末に良がいなくなったらーと考えている間に街で見かけた良の姿に関係の終わりを予感し、その途端、良のことでいっぱいになっていた気持ちが溢れ出て、自己肯定感の低さに終わることを前提にした関係を続けることに耐えられず、二度と会わない決意をする…この2巻のラスト、慎二の泣き顔からその息苦しさが伝わりこちらも息苦しくなってしまった…慎二は自分の気持ちを語ってくれるキャラなので同調しちゃって。
そして3巻での再会。なんとか忘れようとしていたのに「嗅覚」で肌を合わせた「触覚」を思い出す慎二。クールに見えるのに、嫉妬を顕にする良。ようやく溢れ出てしまう気持ちをぶつけ合うシーンは良が真摯な気持ちを慎二に必死に伝える姿が胸を打つ。そして4巻の気持ちが通じ合ってからのベッドシーン。何この劇的にカワイイ良…慎二への愛が溢れまくっている…ひたすら慎二を可愛がりたくてご奉仕に励む良に、せがむ慎二…もの凄く気持ち良さそうで、この2人ならデロデロの愛情に溺れながらも上手くやっていくだろうなぁと幸せな気分になってしまう。そして、やっぱりキレイな身体の線が妙にエッチいです。キスシーンでは口の中で2つの舌がどう絡んでいるのかを頬を透かして描いてて、思わずディープキスの感覚を想像しちゃいました!
このラストに到達するまでの間、作者さまが緻密に構成した関係性の変化に思わず息を呑んで作品に集中してしまってました。この作者さまの手のひらでゴロゴロ転がされる感じ最高で〜す!
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