私の愛したツバメ
」のレビュー

私の愛したツバメ

ジョゼ

寄り添う人がいるだけで…

ネタバレ
2022年3月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ ジョゼ先生初連載という作品。とても深くて、何度か読み返しました。BLのラブな部分は精神的繋がりが前面にあって、エチエチは期待出来ません。人生再生物語と言った感じですが、とても良かったです。
病院内のカフェで働く若菜は、『愛人』と噂されるツバメと知り合います。70過ぎの老人の相手ともなると、金かスケベ心かと下世話なイメージに傾きそうですが、ドロドロトしたものではありません。ツバメと言う名前ではあるけれど、「若いツバメ」ではない?のかな。ツバメを支援するパトロン的存在で、そこに全くの下心がないとは言えないけど…
バレエダンサーであったツバメの輝く光の表舞台からの転落。トラウマに囚われてしまった闇を抱える苦しみ。
博臣と言うパトロン的存在は、疲れきったツバメの止まり木となり、また光の世界へ戻したかったのだろうと思います。一ファンとしてバレエダンサーを愛し、一人の男としてツバメを愛した気がします。ツバメが博臣の側に居るのも、愛なのか、敬愛なのか、恩義なのか、難しいところなんですよね…

そういう中で、若菜との出会いは新鮮で、好き勝手言っている周囲とは違い、素のままの自分を見てくれる事が嬉しかったに違いないと思うのです。嘘がない若菜といる事は心地いいし、惹かれてしまうのもとてもわかります。華やかな世界とその裏の影にいたツバメにとっては、若菜とのありふれた日常を感じる幸せと、博臣の側を離れられない葛藤があったのかな…
ツバメを諦めなかった若菜もカッコ良かったし、外の世界へと背中を押した博臣が素敵でした。
彼らがいたから、また表舞台に立つ事が出来た。
踊る事の楽しさを取り戻す事が出来て良かった!
これからは、若菜と寄り添いながら前を向いて歩いて行けますね。幸せになるんだよぉ~。
ちゅう止まりの二人ですが、二人が寄り添うまでの過程が良かったので、これはこれで良しとします。あとは、脳内補完で…
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