君と運命についての話がしたい
」のレビュー

君と運命についての話がしたい

青梅あお

優しい気持ちで泣けます。。。

ネタバレ
2022年3月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 静かに始まり慎ましやかに閉じる、なのに切なさと温かさでで心がいっぱいになる良作です。
オメガバの世界で地味に真摯に生きる、男同士、β同士のカップルです。
もちろん番うことはできません。
それでも10年一緒にいます。

相思相愛でありながら感じる不安、幸せにしてあげたい尽きない欲求。
小さな揺らぎを丁寧に拾って表現するのに長けた作家さまです。
アンバランスに重ねた10年が本当に大切な宝物に見えます。
2人で居たいから、2人で居るために、傷ついては修復し一生懸命に生きてきたんだなあと涙ぐんでしまいます。

もし運命の番なら、皆に祝福してもらえたのに。
もしそうなら、子どもをもたせてあげられたのに。
詮ないことと理解しても諦めきれないくらいの愛が、哀しくて愛おしいのです。
ここまでの愛を10年以上持続させてるって、それは運命の番に匹敵する「運命」だったんだと思います。
フェロモンみたいに動物的ではなく、しっかりと相手を理解した上での人間的な運命です。
おたがいこの人だからこそ幸せなのだと噛み締める、読み終えた時に温かな涙が溢れてしまった、とても優しいお話でした。
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