このレビューはネタバレを含みます▼
新刊作者さん買い。表題作のみ全5話+描き下ろしで合計173ページ。商店街の再開発計画区域内に店を構える喫茶店のマスター・夏樹。思うところがあり意を決してゲイバーに入ろうとしたところを、再開発事業の担当者・阿久津さんに見られてしまって…というお話です。再開発の担当者と立ち退きを要求される側の店の店主ということで、もっとロミジュリ的展開を期待していたんですが、阿久津さんが結構初っ端から押せ押せで、夏樹もサラッと絆されてしまうので、二人の立場の違いはそこまで足枷にはなりませんでした。個人的にはもう少し悲恋っぽくドラマチックな方が好きかなぁと思いますが、ドロドロ拗れ過ぎないこれくらいが良いという方もいるかも。子供の頃に一度会ったことがあるというので、昔何があったんだろう?とワクワクしていたんですが、こちらも他愛ない出来事で少し拍子抜けでした。家庭に事情がある阿久津さんにとっては大事な出会いだったのかもですが、一読者としてはあれ?それだけ?となってしまいました。そこから執着攻めになるというわけでもなく、再会も意図したものではなく偶然だったようなので、少し中途半端だったような気も…。ただ作者さんの描く攻め、基本的に優しくて良い男なんですよね。個人的にはもう少し雄みのある方が好みですが、優しくて格好良い攻めが好きな方にはハマるかと思います。あとフォロー様も書かれていましたが、喫茶店の立地がすごい素敵で、絵を眺めているだけでも結構癒やされました。