スカートをはいたおじいさん
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スカートをはいたおじいさん

ちべた店長/イトウモロコ

全国の「みのりちゃん」へ

ネタバレ
2022年3月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ こんな風に大切な家族を看取りたかった…出来なくて苦しかった日々の記憶を思い出しながら読みました。当時ちあきちゃんの年頃。その頃の心の記憶は片付くことがない。更新しながら一生抱えていくものなんですね。
時代背景も約50年前と現在の対比がリアル。時間の経過を自然に受け入れられ、人物、ストーリーとも美しく、生き生きと感じられました。准さんは、万事休すかという時、南無阿弥陀仏って口走る面白い方なんですねぇ。特に日向さんの実直で温かいお人柄は魅力的。お花見で同席されたご夫婦、認知症のご夫人と心が通じないと伝える男性に応えて「…わかってるさ 忘れたのは 伝え方だけだ」思い出したのは認知症研究の第一人者で自ら認知症となってから話されていた言葉「見えている風景は、前と変わらない。ただ心配事が心配じゃなくなる。(認知症は)神様がくれた救いのよう。」どちらも聞いた時ストンと腹落ちしました。見えなかった相手の心を知るって嬉しいものですね。
生きるために思い通りにできない、現実的な事情もあって…対応してくださる全国の「みのりちゃん」大切な人の最後に寄り添ってくれて、本当にありがとう。あなたのご苦労を思うと涙が溢れます。どうかお身体を大切に過ごされますように。
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