おしゃぶり先生 おかわり
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おしゃぶり先生 おかわり

シュウキ

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ネタバレ
2022年3月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ ほかの方のレビューでも読みましたが、まさにこれは「人生」の漫画です。
1巻の頃は、ちょっと変態チックな先生のBLかなと思って読んでおりましたが、読み始めた方はみなさん必ず「おかわり」の方まで読んでほしい。
高校の先生と生徒という、創作の世界ではわりとよくある組み合わせの二人というところからストーリーが始まりましたが、せっかく高校を卒業して、晴れて堂々とお付き合いができるようになったのに先生側がそれでもやっぱりこのまま付き合うと、「この子の人生をめちゃくちゃにしてしまう」という罪悪感から、あっさり別れてしまうという、タイトルや1巻のころの雰囲気と打って変わって真面目な展開になり驚きました。
そしてさらにそこからお互いに別々の人と付き合うというストーリーを、短くではなくかなりしっかり描いていて、だからこそ時が経ってカフェでばったり再会するというシーンが、ただの再会ではなくずっしり重く、ギャグコマもあるのに読んでいて緊張してしまうような面白さでした。
カフェシーンは本当に好きで、まず先生を見かけた汐人が「話しかけたら嫌がるかも」という不安と、話したいという気持ちの葛藤から出てきた「3分だけいいですか」というセリフに、込められた気持ちの強さがすごく出ていると思いました。
その後二人が会話するときは俯き加減で目を合わせないのに、なんとかつなぎ止めたくて手を握るシーンは、手元に絵がクローズアップされ、何コマも連続して出てくることで読者の目線が汐人と重なり、先生になんて返されるのか一緒になって緊張しました。
先生の方も、再び大人として対応しなければと思っていたところを汐人の成長ぶりに突き動かされ、やっと本音の「ずっと会いたかった」という言葉がでて、しばらくお互いにどうしようもできなかった長い時間がやっと報われ、心の底からじんわりしました。
予定調和的に別れてぽんぽんと再会できたのではなく、読者も一緒に苦しんだからこその最高の再会シーン。これはまさに人生の漫画です。
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