向井くんはすごい!
」のレビュー

向井くんはすごい!

ももせしゅうへい

「個」を大事に描いている良作と思います。

ネタバレ
2022年3月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ ★DK向井くんとクラスメイトたちの物語。(4/7までセールですよ)

★向井くんの秘密が暴露された日、彼と彼に関わる高校生たちの日常が動き出す…。

★色々考えてしまう内容ですが、お説教臭くなくて、単純に面白かったです。こういう敷居の低さ(?)がありがたいな、と私は思います。マイノリティ、ゲイ、LGBTQなど、当事者以外がラベリングすること、「理解したい」「理解している」と気持ちを勝手に代弁すること…身に覚えがあって胸が痛いなぁと感じます。客観的には「独りよがりな正義感」「価値観の押し付け」と思いながら、「その思考や言動、わかるなぁ」と感情移入できてしまうのですよ…。すごい向井くんのすごくない面、歪んだ寺西の変化、孤独だった森谷が踏み出した一歩、斎藤くんのこれから…。「個」としての彼らの心の声を聞くことができて、良かったです。

★上下巻共に描き下ろし含めて203ページ。「同じだから通じ合える」と救われた寺西と、「同じだからって分かり合えるわけがない」と拒絶する森谷。この2つの視点があることに、何と言いましょうか…安堵しました。フィクションですけれど、取り繕いを感じない、生身の人間の成長や葛藤として読むことができました。

★フォローしている方のレビューで「ビームスコミックスフェア」を知ったのですが、面白いレーベルですね。青年マンガジャンルはあまりチェックしていなかったので、掘り出し物の数々に感謝です。:D
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