このレビューはネタバレを含みます▼
兎の森がとても好きな作者様。本作も良すぎました。
早川が呼ぶ『紺ちゃん』に友達、愛情、たくさんの感情が感じられて、喉の奥からぎゅーとして、何度も視界がぼやけそうになりました。
曲を作るのが好きで、気持ちわるがらずそのままの自分を好きでいてくれる人に出会いたかった早川。カメラが好きで、友達もいて、眩しい程なりたかった理想の姿で生きている紺ちゃん。尊敬、羨望、嫉妬、劣等感、、、苦しい感情を剥き出しにされても、、それでも紺ちゃんに惹かれる気持ちも、自覚してからの怖さも痛い程わかり苦しくなります。
紺ちゃん、まっすぐに気持ちを伝えてくるのに、どんな早川も受け入れてくれ、とても自然に接してくれるんです。自然体がとても魅力的でした。3年後の再会から「早川の3年間ちゃんと見ときゃよかった」紺ちゃんらしい愛が感じられてとても好きです。
下巻の最後、紺ちゃんの歌を口ずさむ表情、「気持ち悪いっていわないでね」からの足元、繊細な感情を全部わかっての紺ちゃんの言葉。なんてあったかくていい男なんだろう。
自然のやり取りなんですが、優しさが感じられる先生のこういう描写がとても好き。
読後とてもあたたかな『紺ちゃん』と呼ぶ声の余韻が残りました。