心中するまで、待っててね。
」のレビュー

心中するまで、待っててね。

市梨きみ

重々わかってたのに…

ネタバレ
2022年4月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ お人好しの福太が14年振りに再会した、優しくて大好きだったお隣の葵にいちゃんは、なぜか昔の中学生の姿のままで…。とても明るい出だしで、最初はタイムトラベルものか、若返りの新薬ものかという印象でした。でも、何かひっかかる小骨のような伏線が気になって、購入前に皆様のレビューを見てみたら、まさか、そんなシリアスな展開のストーリーに繋がっていくなんて、と驚きました。そしてこの明るい出だしの先にどんな事が待ち受けているのか重々承知の上で購入して、一気に読みました。大好きだった葵にいちゃんの身に起きた凄惨な出来事も、葵にいちゃんの存在を忘れてしまう事でしか精神を保てなかったんだろう幼かった福太も、そして時を経て再会して、どうにか福太を守ろうとする健気な葵にいちゃんと、もはや葵にいちゃん無しではいられないほど片時も離れられなくなった福太の愛情と、犯人への爆発した激情と、色々な事、色々な思いが錯綜して、そして最後に福太は故郷の二人の思い出の場所へ帰り、永遠に葵にいちゃんのそばにいる選択をします。雪の中、横たわる福太のそばには、優しく微笑む葵にいちゃんが手を取って寄り添っていて、やがて雪に包まれてーーー。
今までたくさんBL作品を読んできましたが、正直、泣いたのは初めてでした。二人の、相手を思いやって求め合う心が切なくて清くて、泣かされました。大好きだった福太に見つけてもらえて良かったね、葵にいちゃん。。。
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