屍と花嫁
」のレビュー

屍と花嫁

赤河左岸

比翼の鳥、連理の枝

ネタバレ
2022年4月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 199ページ。
実兄弟の関係性に血潮が滾るタイプは迷わず読むべし。
異母兄弟であるリィ(兄)とジン(弟)のお話です。エロはわずかで、この作品に於いてはそれが良い。兄弟の関係性の方に重点が置かれているので、相続争いや屍関連の要素の割には、おどろおどろしくありません。
兄の献身と切ない狂気、弟の縋るような執着、本編のラストも見事な、兄弟二人きりの幸福です。回想場面での飾り窓をはさんでの二人とか、兄弟ならではのやさしい場面もいとおしい。
本編ラストの一蓮托生感でもかなりやられたんですが、書き下ろし「蓮の花の咲く頃」の後半部分、特に最後のモノローグには、実兄弟関係の良さの真髄があり、私は秘孔を突かれたかの如くグフゥっと胸を押さえました。
また、カバーデザインもとても凝っていて良いですね。華燭の典なカラーリング、帯の色にも意味を持たせ、漢詩の引用も感動的(漢詩の意味については、著者tumblrに記載がありますのでぜひそちらを) 。レビュータイトルに据えたのは、裏表紙側のカバーに記されている方ですが、この表現のロマンチックさが大好きなので、久しぶりに見られて嬉しいです。
あと、婚約者が良かったです。BLジャンルでは添え物や意地の悪い当て馬にされて人格どこ行ったってなりがちな女性キャラですが、彼女は彼女なりの行動原理がきちんとあって、説得力がありました。
少々説明がはっきりしすぎているきらいはありますが、それを補って余りある、趣味どストライク作品でした。
((2022.5.追記))ネタバレ無いように気を付けて書いたつもりですが、もしかしたらダメだったかもな〜と思い直したのでフィルターかけます。
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