僕のジェミニ
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僕のジェミニ

森川侑

最後まで雰囲気で押し切れば好きだったかも

ネタバレ
2022年4月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 205ページ。
評価下げて申し訳ないですが、これはモヤつきが強すぎて読み返さないので星2です。
雰囲気はとてもきれいで良かったです。一人だけでは生きていけない双子、切なくて好きなモチーフです。
双子のネーミングから(双子にこんな名前付ける親がいたらヤバい)、ふわっとした作品の可能性もあるけれど、人格というものの深い部分にまで踏み込む作品の可能性もあり、評価も高かったため購入。結果、葛藤好きには物足りない作品でした。
雰囲気が最も良かったのは、story2のラスト。本当のハイドが残されたジキルのために書いてくれたのではないか、という希望があって救われます。story4以降はミステリー仕立てにしようという意図が強く見えるようになってしまった感じです。
ジョンが双子を見分けていたのが、魂の違いではなかったのがひたすら無念。序盤の一回、あれだけはそうですが、双子の片方の死後、基本的に騙されたままで話が進んでしまいます。こちらは明確に入れ替わりを認識しているので、ジョンが疑ってくれないのがかえって混乱しましたし、ジョンが疑ってくれないせいでジキルのメンタル深掘りが見られなかったのが物足りなかったです。
話の畳み方も、正直言って好みではありません。そこはジョン、たった一人入れ替わりを知っている存在なんだから、ハイドを生かし続けることを選んだジキルに「ジキルもここに居るよ」って言ってあげるところでしょうよー!
っていろいろもやもや書いてて思ったんですが、もしかしてこの作品、story2か3までが単発で、連載が決まったのはその後だったりしますかね。そうだとすると納得いくものがあります。
ミステリーの仕掛けの細かいところでは、「先生」は英語圏では教師と医師でははっきり呼び方が違うんじゃないのと思って気になってしょうがないんですが英語圏文化に堪能な誰かに教えて欲しい。
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