終点は東京。【電子限定描き下ろし付き】
」のレビュー

終点は東京。【電子限定描き下ろし付き】

はやりやまい

チクチク…ジリジリ…説得力のある心理描写

ネタバレ
2022年5月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ はやりやまいさん、大好きな作家さん♡
作画がちょっと…で読まないのは相当に勿体ないので、あらすじを読んで、面白そうと感じたものを一冊手にして欲しいです。
本作とラフラブ、青春を呪うなは繰り返し読む作品で、超おススメ致します。
今回割引でデビュー作あさはらたそかれを購入したので、ゆっくり読ませてもらいます。

利一には、学生時代に出逢い、社会人での再会を経て恋人になった高瀬がいる。三十路に差しかかる今、2人で行く旅行の計画を立てた利一。彼には、この旅行に臨むただならぬ想いがあった一一一

高瀬との別れを決意し、最後の旅行にする気の利一。
"何か"いつもと違うと感じる高瀬。
ジリジリ…してます。
鬼気として迫ってくる感じです。

元々ゲイの利一、男を初めて好きになった高瀬。
その違いもあるかもしれないけど……
やっぱり、自分自身や物事をどう捉えているかと言うことが大きいのでしょうね。
"ゲイだから"誰しも一律に迷いや罪悪感があるわけじゃないだろうし、"ノンケだから"恐さなく迷わず進めるわけじゃない。

ただ、作中の利一の言葉
『普通を理解すれば、普通を装うことは簡単だから』
は、痛いほど刺さります。
異性・同性愛者に関わらず、普通じゃない人って何だろう。多数派かどうかと言うことかしら。
そんなん時代や文化、状況でいくらでも簡単に変わるしな…と。だから時と場合によって、みんな普通だし、普通じゃないよな…と思うんだけど、『普通』の檻の中に自ら捕まえられにいく気持ちは分かるなぁ…とチクチクしました。
社会がそれを強いてくる雰囲気、綺麗事ではなく、ありますもんね。

また、利一の面倒臭さがリアルに感じられました。
女性との直接的な描写はないですが、旅行中にナンパされホテルに行きます。抱けなかったのですが、それが直接、高瀬に伝わってしまう…行動を起こした時点で最低なんですが、何か分かる気が、、
ある意味、甘えていたり期待していたり…
甚だ、自分本位な利一。そんなもんですよw

自分が相手を大切に想うように、相手も自分を大切に想ってくれている。それは嬉しく、恐いこと……
人によって何が重要なことか、は違う。
一緒に過ごすということは、やはり身近な人の大切にしていることを、同じように大切にしていくことだと思います。
そんなことを、たくさん考えさせられる2人の旅行。
始点も終点も、東京。
いいねしたユーザ6人
レビューをシェアしよう!