奥津城村の愉快葬
」のレビュー

奥津城村の愉快葬

池玲文

日本の伝奇に基づく3編+1編ほんわかです

ネタバレ
2022年5月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 圭司は数え33歳で行われる生前葬という風習のある村に5年ぶりに帰ってきます。一緒に育った従兄の白雅の生前葬に出席してする為です。実はかつてこの生前葬に参列した白雅が、酔った勢いもあって圭司にキスをしてきたことがありました。当時高校生だった圭司は白雅に恋心を持っていたのですが、キスの後、白雅に謝られて無かったことにされてしまい、傷ついた圭司は村を出たのでした。今回、自分自身の生前葬を迎えた白雅が、これからの人生を後悔の無いものにする為に圭司を呼び寄せたのでした。山深い村の月に照らされた一夜から1ヶ月後、白雅が東京の圭司を訪ね二人の恋は成就します。厄落としと生前葬の組み合わせが実在しそうで面白く、農作業で鍛えた白雅のガッチリ感と圭司への純朴な想いが良きです。『お巡りさんと狐』お人好しのお巡りさんと可愛らしい村長の息子さんとのお話。『雨のトリセツ』水神の子孫である雨降罔象は雨乞いの祭りの祭神を務めることになっています。水を操る不思議な力を持つ罔象を可愛く想う結くんのデコチューが眩しく、ラストの祭りのシーンが晴れやかに美しい短編。『月に一度のお召し上がり』幼馴染を月に一度食事に誘うのが精一杯なヘタレな攻めに絆される受けの男前さの光るお話です。
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