ダッチの胃は宇宙【シーモア限定おまけ】
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ダッチの胃は宇宙【シーモア限定おまけ】

笑平

犬飼くんの想像にはいつも猿渡くん出てくる

ネタバレ
2022年5月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 何コレ何コレかわいい!最高に楽しい漫画!
試し読みの段階でキャラクター達に心を鷲掴みにされて、もう目が離せなくなってました。
まず絵がとてもお上手です。固いところがなく崩しも上手い。本当に描ける人じゃないとこんな描き方できないっていう動きやアングル。表情豊かだし、セリフのセンスもすごく好き。そして「漫画」を存分に楽しめる表現。コマ割り、文字、擬音、吹き出し、細部の遊び(服のロゴや看板、商品名など)までも、うんうん、漫画ってこういう楽しみがあるんだよな、って思わせてくれる。

お話は、一緒に時間を過ごすうちに少しずつ相手を好きになっていく過程が両サイドから丁寧に描かれます。
そんなお話の中において、何よりも私はその「造り」に感動する。
キャラクターの見た目だけならまだしも、育った環境によって形成された性格とクセ、箸の持ち方や、この子ならきっとこんな時こんな風に動くんだろうなという細かな設定…絵はめちゃくちゃ漫画なのにね、すごいリアリティ。痛みを感じさせる言葉だけで痛がる兄属性とか、ハガキを咥えながら缶コーヒーの蓋を開けるのとか、それぞれの指先の造形にいたるまで。
刀型傘が単なるネタじゃなくちゃんと小道具になってるのにも笑ったし、左右問題も私は納得、と言うより、この2人らしくて愛しくてたまらないです。
作者先生が造り込まれたこの創作世界にすっかり没頭しました。ああ、楽しかった〜!
これ、たくさんの人に読んでもらいたいなぁ。

36ページ左下隅に魚が描かれて、2話目のトビラ絵、そして水族館のシーンへと続く一連のページ運び、見事です。
描き下ろしと特典ページ付きの236ページ、読み応えのある、大満足の一冊でした。
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