東京心中
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東京心中

トウテムポール

自分の人生に重なる泣ける作品です

ネタバレ
2022年6月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 主人公宮坂の人生の一部を、10巻11冊で、紙面も時間もかけて丁寧に描いた作品です。
大きく環境が変わり、人生の岐路に立ち、悩み、踏ん張り、決断し、人として最も成長するチャンスのある22歳から27歳までの物語りです。
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宮坂はクソど真面目で素直な性格なので、仕事も恋愛も人間関係も、全力で向き合っています。
その分、傷ついたり凹んだり反省したり、逆に褒められればより励み、目標があれば辛いコトも乗り越えて頑張って生きています。
しかもかなりな恋愛脳です。
本当に丁寧に慈しむように描かれているので、いつのまにか自分の過去に重ねてしまい、辛かったあの時、必死で頑張ってたあの頃を思い出してしまい、宮坂を思って泣いているのか、自分の過去に泣いているのか分からなくなって、それでも涙が止まらないシーンが多く有りました。
大好きな矢野さんと離れて暮らさねばならなくなった時の、寂しくて仕方なくて行き場のない気持ちを表した10分の映像。
信念と仕事の要求の大きな差に自分がバラバラになってしまい、突発的に夜行バスで見も知らぬ土地まで行ってしまった時。
不仲だった家族に正面から対峙し、やはり結果は改善できなかった時。
それでもいつも、いつでも矢野さんと共に在ることで全部の辛い事が幸せに変わっていきます。
残りの人生全部を一緒に生きたい伴侶とは、と感慨深く考えさせて頂きました。
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また今作はBLでは珍しく、女性のキャラの内面までも好意的に深く描かれています。それがお話に血を通わせています。
そして忘れてはならないのが野良猫だった矢野さん(仮)の存在。ツンデレなのに癒されて大活躍でした。
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11冊を一気に読みましたが終始飽きることなく、それどころか、もう読み終わってしまった…と残念でなりません。
各章のタイトルも凝っていて、各巻の目次ページで想像を膨らませてから読んでいましたが、読み終えた今タイトルの意味を思いまた涙ぐんでしまいます。
魅力的な矢野さんとのエッチも、ドキドキして、時には笑ってしまったりして、でもとても幸せな気持ちで読みました。
修正は白ボカシ、または見えない構図でした。
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