流浪の月
」のレビュー

流浪の月

凪良ゆう

事実と真実はちがう…

ネタバレ
2022年6月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 第17回本屋大賞受賞作。2022年5月映画化公開。
毎度の事ながら凪良先生の作品は一気読み不可避の面白さです。今作もページを繰る手が止まらずノンストップで夢中になって読みました。
今作は同作家さまのBL小説「あいのはなし」をベースに、恋愛を抜きにして綴られた作品だそうです。
愛だ恋だを語らずにどのように心の琴線に触れ、虚無感や絶望感、幸せや満たされることを読者に伝えるのか?
その手腕はお見事と言うより他は有りません。
テーマの一つである「事実と真実はちがう」こと。
「普通」である事の残虐性。
その「善意」が必ずしも相手の為にはなるとはかぎらないこと。
今作を通して自らの対人関係を深く省みるきっかけとなりました。
過去多くの書籍を読んできましたが、自分の反省を促す本にはなかなか出会えません。
読み手の在り方を無理矢理ではなく納得して変えてしまう、素直な文章と程よい距離感と共感力が備わった素晴らしい作品だと思います。
………
終の棲家は場所ではなく、お互いの中に在った。
そんな人生はどんなに素晴らしいものでしょうか。
一番大事なことは曲げないで生きる強さが掴み得た、変則的でもまごう事ない幸せです。
………
映画は観ません。
自分の中に確たる更紗と文が棲みついてしまったので、どんな優秀な映画監督でも、どんな素晴らしい俳優でも、きっと満足は出来ないと思うからです。
………
一つだけ不満があるとしたら、文の店の名前で早くからネタバレしてしまった事です。キャラコ…あからさま過ぎです………(-.-;)410
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