これ読んだら傳右衛門に惚れてまうやろ…





史実に残る「白蓮事件」は、25歳差で筑豊の炭鉱王に嫁いだ華族のお姫様が、若い愛人の子を身もごって駆け落ちし、さらに新聞に絶縁状を掲載するという、ドラマさながらの出来事で、その後、この事件を題材にした沢山の作品を生み出しました。九州の飯塚市にある伊藤傳右衛門邸を訪れた際、その絶縁状のコピーも売ってたんですが、あまりに激しい心情の吐露に圧倒され、かん通罪もあった時代にこんな先進的な女性がいたんだ!とひたすら白蓮推しになって帰ってきた一方、現地のボランティアの方は傳右衛門推しなのに伝わらない悔しさを語っていたのが印象的でした。
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そんな縁もあり手にした本作。想像以上に、傳右衛門LOVEの作者様の熱量が伝わる、傳右衛門の漢気、可愛らしさ、白蓮への愛情はあるのに不器用で、それでも漏れ伝わってしまう白蓮への愛!の描写。そして想像以上にこれに応えたいと思う白蓮の姿。
伊藤傳右衛門邸の完璧な再現や、炭鉱労働者の明日生命のある保証のない厳しい生活だけど人情に厚い川筋気質の描写に、激動の時代の変化も描いた良作です。これ読んでから伊藤傳右衛門邸に行きたかった〜!いや、傳右衛門カッコいい!今さらながらボランティアさんに謝りたい気持ちになってしまうほど、傳右衛門推しになっている自分に気付くのでした(汗!)。
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途中白蓮の絶縁状も一部読めるほか、作中に登場する白蓮の短歌なども格調高く、とても品のある作品です。傳右衛門と白蓮の心情の通い合いは作者様の創作によるところもありますが、生まれた世界の違う者同士が愛情を育んでいく姿が美しく描かれ、絶縁状を書いた後も心の中で想いあっていた描写など、なんてロマンティックなんだろうと。宮崎もカッコ良く描かれてるし。世間ではスキャンダラスに取り上げられがちなこの3人を、こんなに美しい世界観の中で描かれた作者様の力量に拍手を送りたい気持ちになりました。良かったです。

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