月はみちかけケモノの恋【コミックス版】
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月はみちかけケモノの恋【コミックス版】

野白ぐり

締め方が抜群に良い!余韻がすごいです

ネタバレ
2022年6月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読後の印象は、田舎のおばあちゃんちの古い書棚にあった御伽話の本をこっそり読んでしまった、そんな気分。
昔この家にはこんな素敵な二人が暮らしていたんだなぁと、心ときめかせながら思いを馳せたくなりました。

一人ぼっちで何百年も寂しさに耐えてきた狛犬の狛と、都会の人間関係に疲れて田舎に心を休めにきた伊月の物語です。
やや展開早くて置いてけぼり感あり、終盤までするするっと読んでしまったので、実はちょっとストーリーはあっさり目かなぁと思ったんです。
が、ラストがとにかく素晴らしかった!
こんな締め方をするとは思わず、一気に心を持っていかれました。とても美しい余韻の残るラストだと思います。

正直初読時途中までは、狛は一人が長すぎたから、藁をも掴む思いというか、ちょうど目の前に現れた人に縋ってしまっただけだったんじゃないかと思ってしまったんですよね。
しかしラストを見てから再読したら、二人の生涯は間違いなく穏やかで幸せだったのだろうと感じられました。結局運命の二人だったのだなと。
この最後の締めまでで、綺麗に収まった一つの御伽話だと思います。このラストを見れただけでも読んで良かったと思いました。
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