もう一度、ここから。(単話版)
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もう一度、ここから。(単話版)

春巻トキコ

ノートに吐き出した十数年

ネタバレ
2022年7月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ ●本文51P。冒頭の引きがまず良かったです。「喫茶店」「ノート」のモチーフがほんのりノスタルジックで、二人に何があったのかなって想像が膨らむ。
●大学卒業後、全く縁が切れてしまった二人。翔太は、具体的に何か考えてブレーキかけてたというよりも(←ノートにはそう書いていたけど)、ただ鈍かったように見えました。悠真の想いにも、自分の気持ちにも。無意識に考えることを避けていたのかも。ただぼんやりと、悠真とは一緒にいるものだと思っていた。でも、悠真は連絡を絶った。あのときのsexは、終わらせるための覚悟だったのかな…。大学時代のエピソードは胸がズキンとします。
●ノートを介してもう一度二人が繋がるんだろうと、もちろん予想はできるけど、翔太の綴った言葉に悠真が返事を書いたのは一度きりで、あとは思い出の場所で待ってる、というのが良かった。きっとお互い連絡先は変えてもないし消してもないのに、翔太は怖くて使えず、悠真は「もう見ないかもしれないノート」という手段に賭けた。
●二人が顔を合わせたときの表情とセリフがすごく印象的。その後の会話は時が駆け戻ったようで、読んでいてニコニコしてしまう。ラストは悠真から翔太へ投げかけたところで終わってしまうのですが、返事はもう決まっているし、幸せに向かう未来しか見えない。良かったね…
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